3Dプリンタ用表面処理容器を作る

近況報告です。
3Dプリンタを買いました。
3Dプリンタいいですよね夢が広がりますよねいろいろできますよね

3Dプリンタでよく使われる素材としてはPLAとABSというものがあります。
ざっくり説明すると、

PLA
  • 植物由来素材
  • 造形中くさくない
  • 半透明のフィラメント(素材)がある
ABS
  • 石油由来素材
  • 造形中独特なにおいがする
  • 強度があり、機械的な構造に向く
  • 収縮率が高く、充填率が低いと反ってプラットフォーム(造形するテーブル)から剥がれてしまう
  • アセトンに溶ける

このような特徴があるため、目的によって使い分けて運用しています。
ちなみに、FLASHFORGE社の3Dプリンタの一番安いモデルはABSが使用できないようなので注意が必要です。
もう2万出してAdventurer3を買いましょう。(宣伝)
flashforge.co.jp

【問題点】積層型の3Dプリンタには積層した跡がスジになって残る

私が使用しているAdventurer3などの一般的に個人用で普及している3Dプリンタは溶かしたフィラメントを積層するタイプのものです。
この積層した跡が意外と目立ちます。
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【対策】アセトンを使用して表面処理を行う

モノによっては表面をきれいに仕上げたいこともあるので、これでは少し気になります。
表面をひたすらヤスリがけする手もありますが、手間がかかるため今回は気化したアセトン雰囲気に晒すことで表面をツルツルに仕上げてみます。

アセトンで表面処理をするためには気化したアセトンで満たした容器が必要です。
そこで、下記の機能要件の元、表面処理容器を作成しました。

機能要件

  • アセトン撹拌すること

 アセトンは空気よりも重く下部に滞留するため、撹拌ファンを取り付けて撹拌します。

  • 気化したアセトンを逃さないこと

 せっかくアセトンで満たしていても外に漏れ出してしまっては表面処理ができない。

  • 容器を保護すること

 アセトンに溶けない素材を使用します。
 アセトンに溶けないものとして、PLAやポリプロピレンなどがあります。
 もちろん、金属や陶器も使用できます。

今回は百均の漬物容器(ポリプロピレン)をベースに自分で設計したPLA樹脂製パーツを組み合わせて表面処理容器を作成しました。

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表面処理容器全体像

フタ部分

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蓋に撹拌ファンとパッキン、固定用爪を取り付けました。
撹拌ファンにはUSB電源で動くファンを使用しました。
風の向きについては、容器の中が狭いため大した影響がないと判断して取り付く向きに取り付けました。
item.rakuten.co.jp

パッキンはシールで貼り付けるパッキンシールを使用。
気密用ということなので多分大丈夫。
www.monotaro.com

固定用爪は自作品です。
3点で容器側の出っ張りに引っ掛けてフタを密着させます。
このときに前述のパッキンが潰れて密閉されます。
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容器部分

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容器の中にはアセトンの受け皿とワークを置く金網
容器自体には加工を行いませんが、中にアセトンの受け皿とワークを載せる場所を確保します。
大物はこのような荒い網の台で十分ですが、サイコロのような小さいものは網戸の網などの目が細かいものを上に敷けば対応できます。

【処理】表面処理をしてみる

こちらのABS製縄文土器を表面処理してみます。
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処理の間は30分に1度くらい様子を見ると良いです。

処理後
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ちゃんとツルツルになりました。
ただ、デメリットとして細かい模様は出ないですね。

ノウハウ

  • 処理が終わってもしばらくワークに触れない。

表面処理後のワークは表面だけでなく全体的に柔らかくなっています。
触れるとワークが変形してしまったり、触った跡が付いてしまうためフタを開けて換気しながら硬化することを待ちます。
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  • 表面処理時間には注意する。

アセトンは表面だけでなく内部まで柔らかくしてしまいます。
アセトンに晒したまま寝落ちしたり出かけたりして処理時間が長いとワークの形状が崩壊してしまうため注意が必要です。
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